ギターコレクション(2)グレコ SE-700 PROJECT
2009/05/25/23:36:18(Mon)

私が初めて買ったちゃんとした電気ギター。
ギターカテゴリー記事の前回、グレコ Model.101Nの次に買った。
ソレまでは、親戚のニイチャンに貰ったグヤトーンのワケワカラン小さな電気ギターをいじったりしてたんだがコレが実に弾きにくいギターで、すぐに放り出してその後は部品取り用になったりして、ほとんど弾かなかった。(現存してたらビザールとして珍宝かな?)
というのも、私は元々フォークの人で、
「ロックなんて、あんなヤカマシイ音楽嫌いだ!!」
と、思っていた。
でも、グレコ Model.101Nにグヤトーンの電磁式ピックアップ(当時1500円くらいだったかなぁ)
をつけて、ラジカセのマイク端子に突っ込んで鳴らしたりしているうちに、あの「ビャー」っと言うスピーカーが破れたような音が気に入り、いつの間にか電気ギターとロック方面に興味を膨らませていった。
そして、衝撃的だったのが友人が貸してくれたDEEP PURPULEのLIVE IN JAPANというレコード。
「電気ギターってこんなことが出来るんだぁ!」
となり、セッセとためた小遣い+親にちょっと援助をしてもらいこのギターを買った。
横浜駅東口スカイビル内テイトムセンだった。
このテイトムセンという電器&楽器屋さんはメーカー希望価格の25%~30%引きで売っていたので、当時のビンボな学生さん達の強い味方だった。
んで、FENDER STRATOCASTER 1954年型(ストラトのファースト・モデル)のコピーであるこの
SE-700 を一目見て気に入り、『30%引きだと49000円か』と思っていたのだが、なんとこのギターは
PROJECTシリーズという受注生産品で、テイトムセンが何銘柄か発注したモノの内の一本ということで値引き出来ないとのこと。
でも、衝撃を受けたDEEP PURPULEのりっちぃぶらっくもぁさんの弾いている“すとらときゃすたぁ型ギター”なので無理して買った。(もっとも、りっちぃさんはデカヘッドを好んで使用と後で知った)
その時、従業員さんがヤマハの本革製ストラップ(当時2500円!)と弦ワンセットをサービスで付けてくれた。これは有り難かったね。
その後、サービスの良さもあって、テイトムセンとは長い付き合いになる。
もうカンの良い方ならおわかりだろうが、このギターは一時期、柳ジョージ氏が弾いていたものと
同一の生産品。さらに、元をたどるならばエリック・クラプトンの初代ブラッキーをコピーしたルックスだった。 私の手による改造で今はこのお姿。
さて、細部を見ていくことにしよう。

ヘッドはオールド・クローシャン・ヘッドと呼ばれる後のデカヘッドよりもだいぶ細身のもの。
丸型のストリング・ガイドが1,2弦だけに付いているが、これが1954年型の特徴。
といっても、極初期に生産されたものは初期不具合是正を行い、仕様が定まるまで多少時間がかかっため3,4弦にも付いたもの、あるいはストリング・ガイド自体無いものも存在するようだ。
モノホンなら、現在400~500万円くらいするので、実際に見たことは無いのだが・・・
ナットの上に見える焦げ茶色の楕円部はトラスロッドを仕込んだあとの埋め木。
デカヘッドになるとここにブリッツと呼ばれるトラスロッド操作用の金属部品が飛び出すが、
このころの操作部はネックエンドにある。
ペグはシャーラーに似せたロートマチック・タイプでニッケルめっきが施してある。
裏ブタにはグレコ・ギターの刻印があるが、たぶんゴトー製でしょう。

ネックはワンピースのメイプル。
指板部分はスキャロップド加工してある。(詳細、後述)

PU は全てオリジナルではない。
フロントがFENDERのシングルコイルで、のちに買ったストラトから外したもの。
ミドルとリアがビル・ローレンスの L-250。
私は他のストラトプレーヤーと違い、ミドルを多用し、フロントはほとんど使わないため、
このような組み合わせになっている。
この L-250はシングルコイルの音をねらったハムバッキング PUで、中音域にクセがあるが、
私の好みにはあっているため、私のストラトおよびストラト型ギターはほとんどこのセッティングに
なっている。
ヴォリュームおよびトーン、セレクトスイッチは最近すべて新しいモノに交換して配線もやり直した。
ノブはオリジナルは白だが、現在付いているのは黒いリプレイスメントパーツ。
トレモロアームのキャップも折れた FENDER 製アームから外して、ネジピッチは違うが
無理矢理とりつけた。
ピックガードは白いものに透明顔料の蛍光オレンジを吹き付けて、トップコートにクリアラッカー。
しかし、乾燥時間を十分にとらなかったため、時間が経つにつれ着色部とトップコートの収縮率の
違いからか無数のクラックを生じてしまった。
でも、スパイダーネットみたいで面白いからそのまま。
ブリッジはオリジナルのままで、特に交換したモノは無い。
ユニットはダイキャストの1ピース構造。
モノホンはサドルがプレス製で、ユニットはブロックとプレートをネジ止めする2ピース構造となって
いる。その点がこのグレコとは違うな。

ボディ裏のトレモロキャビティを覆うフタは弦交換を容易にするために下側を三分の一ほどカットして
ある。スプリングは斜め掛けの3本。
リバーブ共鳴を防止するためスポンジをフタとの間に挟んである。
このように大改造をほどこされ、まったくオリジナルとは異なったものになってしまった。
SE-700 はその後、レギュラーシリーズに移行しデカヘッドになるため生産数は少ないのかな???
そこらへんは把握していない。
最近古い日本製ギターが見直されてきているけど、こんなギターは誰も欲しがらないだろうな。
売る気は無いので無問題だけど。
さて、以下は自己流のスキャロップド加工記。
プロのリペア・マンから見ると笑っちゃうかも知れないが、本人は大真面目。
まずは、ボディからはずしたネックを半丸ノミと木工用半丸ヤスリでゴキゴキ荒削り。
ブリッジ側のフレット近くほど深く、6弦側は浅く1弦側はより深く削る。
この時、12ポジションのポジション・マークが取れそうになり、あわてて瞬間接着剤で固定。
結構、薄くて浅いのね、ポジション・マークって。
次に、サンドペーパーで順時前の番手のアシを取る。
これをキチンとおこなわず、アセって先に進んだため、完成後もヤスリの跡が少し残ってしまった。
その後、との粉とサンディングシーラーで目止めして塗装の下地仕上げ。
これも、根気よく塗っては研磨を何度か繰り返すとよいが、私は二回で終了。せっかちだなぁ。
指板表面の中塗りだが、オリジナル塗装はかなり焼けているので、削った部分の白木状態に
クリア・ラッカーをそのまま塗ったのでは色味に違いが出てしまう。
そこで、ほんの少し赤や黄色を混ぜて色合わせしたものを塗り、十分に乾燥させる。
ボディに仮組みし、弦を仮り張りして、トラスロッドを調整する。
指板を削り込み、いわば身が痩せてしまったネックは剛性が低下しているワケで、以前と同じゲージの弦を張っても順反り状態になってしまう。
そこで、弦を張って正規のチューニングのテンションをかけた状態でトラス・ロッドを調整してやる必要があるのだ。
この状態で、フレットの編減りや指板面の波打ちをチェック。
ここで明らかになった問題点をフレットの頭をそろえてやることで解消するためにファイリングを行う。
フレット・ヤスリはあるギター工房でリペアマンをやっていた友人から貰った。
このヤスリと60センチ直定規、真平面の出たアテ木、サンド・ペーパー等を駆使してナットから
ネックエンドにかけて真直線を出してやる。
だが、真直線はプロのリペアマンでもなかなか出来ることではないらしいから、私はある程度の点で折り合いをつけて妥協するしかない。
フレット研磨が8割がた終わったところで指板表面のトップコートを塗る。
着色面の上にクリア・ラッカーを三度塗り。
4日ほどかけて塗装および乾燥を終えてから、金属磨きとコンパウンドで仕上げた。
初チャレンジにしてはウマク出来たが、いろいろ問題点も浮かび上がってきた。
だが、この教訓は次のFENDERやコンポーネント・ストラト型改造に生かされるはずなのだが・・・