【寿々㐂家】曙町店 横浜市中区
2016/06/20/23:52:01(Mon)
【寿々㐂家】といえば、保土ヶ谷区上星川の行列店です。1990年に創業。
本牧家から派生した同店は、たちまち人気店となり、土・日などは行列がなかなか切れない状態となりました。
当然、私も何度か行っては、行列を見てあきらめています。
しかしある時、別の用件で近くを通りかかると、店前に行列が無い!
その頃は、家系本牧派の巨魁として押しも押されもせぬ存在でありましたから、ココはチャンスとばかりに飛び込みました。
【寿々㐂家】創業から、10年が経った2000年7月11日のことでした。
しかし、その時の印象としては、
『フッツーの家系じゃん、なんでこんなに大行列になるのか? オイラにゃ納得できねぇ!』
と、言うものでした。
それから更に10数年、国道16号を通るたびに目にする人の並びに、
『ココは、私の行く店ではない』
との思いが積み重なり、意識の底の方に沈潜していったのです。
ところが、そんな眠った意識を呼び覚ますコトが起こりました。
【寿々㐂家】が私んチの近所、中区曙町に支店を出すというのです。
告知よりも幾分早まり、2016年2月24日曙町店はオープンしました。
しばらくは本店同様の行列状態が続いて、特に土・日は近所の【二郎】と争うほどの人気ぶりでした。
6月中旬のある日、仕事を終えて伊勢佐木町のラーメン屋に向かってチャリンコを走らせていたら、曙町店に空席をいくつか発見。コレはチャンスとばかりに、急遽方針変更して入店実食しました。
本店・支店ともに本来のターゲット外であり、スキを見ての偶然入店となりました(笑)
しかし、ラーメン喰うのに必死に成りたくない私としては、これでイイのだと納得しております。
基本の〔ラーメン〕 700円 味付け、麺の固さ、油の量等は全て普通でお願いしました。



大人気店のラーメンですから、多くを語るのはやめておきます。
ネット上では、本店に比べて力不足であるとか、麺あげのザルが違うので茹で具合が気にイラナイなどの意見がありますが、私が喰ったのは16年前のたった一回だけ、しかも本店。
記憶も薄れているし、当時のアナログ日記にも、上記の空色強調文以上のことは書いてありません。
世の中の食材も、人々の意識も嗜好も変わっているハズの現在ですから、同じ土俵での評価はナンセンスでしょう。
ただ本店実食時には感じられなかった「退きぎわの良さ」と言うようなものを感じたのです。
私が現在好きな家系のラーメンは、新杉田の【杉田家】
まぁ、味は作り手や時間帯により多少のブレ幅があるのはしょうがないですが、キリリと立った醤油ダレとチー油の豊かな香りが気にいっています。
それに、10数年以上通い続けた【吉村家】が新杉田を去る時に残していった「忘れ形見」という心理的作用もあるとは思いますが。
そんな【杉田家】のラーメンですが、一杯のラーメンが喰い終わりに近づいていく時の心の葛藤と言うのがあります。
ある種の「危険なニオイ」を感じ取ってしまうとでも、言いますかね。
『今日はずいぶんショッパイからなぁ、スープ全飲みはやめておくか』
とか、
『アブラがちょっとクドいねぇ、昨日揚げ物喰っちゃったから、スープは半分だけにしておきましょう、でもウマいスープだなぁ、ホントは全部飲みたい、イヤイヤ、やっぱやめておいたほうがイイ』
家系じゃないケド、【二郎】のラーメンを喰っている時でも
『このブタの脂身は、喰いたいけれど喰わない方がイイんじゃないかなぁ』
等と、フト考えちゃうんですね。
私は、30歳代の頃まではスープまで一滴残さず完食完飲がラーメン喰いのスタイルでした。
『全部、胃に納めてこそ、そのラーメンの評価が出来る』
と、考えていたのです。
ところが、歳を重ねると段々にそんなコトは言ってられなくなりました。
若い頃は、まったく気に成らなかった血圧とか、メタボとかその他モロモロが私の前にキビシイ言葉を突き付けてくるのですわ。
別に、長生きしたいワケじゃないですけどね、親より先に死ぬだけのは避けたい。
それが先述の葛藤に繋がるんですね、ハイ。
そして、ようやく話は【寿々㐂家】曙町店のラーメンに戻って来るワケです。
この時喰ったラーメンには、その葛藤が無かったんです。
『うん、うん、家系だね、スタンダードだね、ゲンコツ、豚骨のダシも重量感があってイイね』
『麺も、普通の茹で加減だとモッチリ感が歯に絡み着くくらいで素敵だよね』
『でも、行列してまで喰うようなポイントはこのラーメンには無いと思うんだがなぁ』
なんて考えているウチに、スープまで一滴残さず、全て喰い尽していたのです。
「危険なニオイ」を一切感じることなく喰い終わっちゃったのです。
この重量感・迫力に満ちていながらも、サラッと喰い終わることが出来るのが【寿々㐂家】のラーメンの魅力なのかな?
と思った次第です。
御馳走様でした。
また、スキをみて喰います。
