ギターコレクション (6) YAMAHA SX-60 紹介編
2016/09/09/21:24:53(Fri)

YAMAHA SX-60 は、1974年11月に発売され、1976年頃まで3年間ほど製造・販売されたギター。
やや小振りなボディは、あまりギターには使われない桂材が使われています。
ネックは、軽めのメイプルのようです。
重量が2.7~2.9㎏と、とても軽量。
ストラップでぶら下げても、重量バランスは良い。
ゆえに、取り回しがとても楽。
重いギターがシンドくなってきた私にはありがたい。
一見小柄に見えるが、スケールはストラトと同じロングスケール。
しかも意外なことに全長は、ストラトより2センチほど長いんです。
SX型は確か、この他に-80、-90、-125などがあった。
他に、オーダーメイドと思われる SX-COM と呼ばれる高品位生産品もありました。
このSX-60は当時5万円くらいの売価だったから、廉価モデルと言えますかね。
SX-125などは当時12万円だったかなぁ。
中学から高校生の私には買える物じゃなかったし、私が初めてまともな電気ギターであるグレコのSE-700を手にした頃には、このSXは生産を終了しようとしていたワケです。
SXには前期型と後期型があり、発売当初はすべてシングルコイル・ピックアップ搭載で、2ピックアップスと3ピックアップスのバリエーションだった。
3ピックアップスのタイプは、ストラトキャスターと同様の回路で、明らかにストラトを意識したものになっていたね。
センターとフロント、センターとリアのハーフトーンも楽に出せたし。
対して、2ピックアップスのタイプは、テレキャスターを意識したものだった。
後にハムバッカー搭載型も現れ、SXは基本線が二本立てとなります。
その時に、ハムバッカータイプはAシリーズとなり、シングルタイプはBシリーズと呼ばれることとなる。
この大転機以降が後期型、その前が前期型と分けられ、私のSX-60はシングルだけだった頃の前期型です。
リッチーブラックモアが去った後の「DEEP PURPLE」のギタリスト、トミー・ボーリンや「GRAND FUNK RAILROAD」 のマーク・ファーナー、ブルーズロックの雄 ロリーギャラガー、「WISHBONE ASH」のローリー・ワイズフィールド、「THE DOOBIE・BROTHERS」のパット・シモンズ等がこのSX型の高品位モデルを使っていました。
日本では、うじきつよしさん、エディ藩さんなどが使ってました。
YAMAHAとしては珍しい、ダサさのないシャープなデザインが気に入ってて、トミー・ボーリンもマーク・ファーナーも好きだったから欲しかったんだよね。
でもその頃には、生産は終わってるし店頭在庫もほとんど見かけなくなってました。
んで、少年の頃あこがれたギターを大人に成ってから探したんです。
当時の私はPCを持ってなかったので友人の※に頼んで、オクで落としてもらいました。
3ピックアップスのSX-125Bのナチュラル仕上げを求めていたのだけれども、価格的に折り合わず、このSX-60に落ち着きました。
それがもう10数年前かなぁ、たしか38000円。
でもね、古いギターだけあって実用上イロイロと問題もあったのです。
細部を見ていきましょうか。
まずは、ヘッド。

「デビルヘッド」等とも呼ばれるこの形、そう言えば「魔法使いサリー」のサリーちゃんのお父さんが、こんなヘアスタイルしてたっけ。
もっとも、サリーちゃんのお父さんは悪魔じゃなくて魔法の国の王様ですが。
この天を突く二本のトンガリと、テイルピースからボディエンドまでの距離がストラトより全長が少し長い理由です。
「YAMAHA」のロゴマークは、一部はがれてます。
デカールなんですかね?

ナット裏はツルペロです。
当時はスカーフジョイントなんて無いから、後ろ倒しは厳禁!
後に、この部分にはボリュートが追加されます。
そして、糸巻きはオリジナルでは無いモノ。

私が購入した時はオリジナルが付いていたんですけど、それはケースの部分がプラ製でヒビ割れが多数発生していたのです。
んで【ハード・オフ】でジャンクパーツとして売られているモノの中から吟味して購入したシャーラー型糸巻きに交換しました。
メーカーは不明ですが、ヘッドの取り付け穴やネジ穴など無加工で取り付けられたし、動きもスムーズで遊びも少ない。
加工精度の高さからみて、たぶん日本製だと思われます。
ネックのローポジション付近。

指板はローズウッドかな。
ポジションマークは、ドットの平凡なタイプでパーロイドでしょう。
ナットはプラスチック。
ネックジョイント付近。

フレットは八分山程度。
中古としては、良く残っている方です。

ダブルカッタウェイのヒール付近は滑らかに成形され、ハイポジションが弾きやすい。

ピックアップは、YAMAHAオリジナル設計のアルニコ・マグネット採用のシングルコイルが二発。
調べてみると、「0056A」 という型番のようです。
かなりエッジの立った音で、ザクザクきざむコードワークなどには最適。
同じピックアップ・レイアウトではありますがテレキャスターよりは、マスタングに近い音質かな。
でも、マスタングほど軽くはない中音域の響きが好みなんです。
ここら辺は、ボディの材による影響でしょうね。

コントロール部分は、元々2ボリューム2トーンでしたが、ストラト弾きの私には、ボリュームが二つ有ると言うのが複雑極まりないコトなんです。
手に入れてすぐに1ボリューム2トーンに変更してしまいました。
ボリュームを一個撤去した穴にセレクタースイッチを移し、元のセレクター穴にはサイドに在ったアウトプット・ジャックを配置してトップジャック仕様にしました。
今現在は、トーンもひとつでイイなと考えています。

ブリッジはチューン・オー・マチックスタイル。
サドルはプラスチック製で、少し頼りないから交換したかったものの、ここまで使ってきて特に問題は無かったのでそのまんま。
後ろ姿。

割りとツマンナイ(笑)
カラーは黒だと思いますが、よ~く見ると、とても濃いブルーなんです。
そして、光線の具合によってはシースルーっぽく桂材の大まかな木目が見えます。
コレは経年変化による退色が作用しているのかな? その点はよくわかりません。
それでは、ピックガードをあけてみます。

キャビティーには、ノイズ対策の導電塗料が塗られています。

アウトプット・ジャックのコールドの他に、弦をグランドに落とす為にテイルピースに向かっている配線がこの導電塗料に端子を介して接続されています。
なかなか細かい仕事ぶりだね。

画面右手がヘッド方向です。
昔のギターにはタマにあるんだけど、250MΩなんつぅポッドが使われてます。
それから、ハイ落ちを防ぐためにハイパス・フィルターの役割をするコンデンサーがボリュームポッドに噛まされてます。
コレはFENDERのテレキャスターなどにも使われている方法だけど、音量の変化曲線が変わっちゃうんだよね。
つまみの目盛りが0から1あたりで急に上がって、後はほとんど変化が無いようなカンジに成っちゃう。
私は演奏中でも、頻繁にボリューム操作をするので、これじゃマズイんですわ。
ピックアップは、エスカッションでボディに取り付けられています。
だから、ピックガードを外してもボディに付いたまんま。
コレは後々の電装品交換や、調整に便利なんです。
ピックガードを外すだけで、弦は張ったままアンプからの出音を聞きながら作業できますからね。
次にピックアップを、ボディからエスカッションごと外し、

裏返してみると

「SX-60」のスタンプ。
前期型は高品位モデルも全て「0056A」が付いていたはずで、ならば特に「SX-60」と区別する必要はないように思うんだけど・・・・・ここらへん、ちょっと謎ですねぇ。
カバーも外してみました。

コイルには、青いビニールテープが巻いてあります。
ハウリング対策と巻き線の保護だとは思いますが、これじゃぁ不十分だよなぁ。
大音量で歪ますと、ハウリング大会になってしまう。
ポールピースは、面取りの無いスタガード・タイプ。

指板には「87557」というシリアルナンバーらしきものが見えます。
この五桁の数字の表す意味はよく分かりません。
このシリアルナンバーが、後期型ではヘッド裏に移行しています。
ネックの仕込み部分は、フロントピックアップ・キャビティーの下にまでおよんでいます。
いわゆる「ディープ・ジョイント」というやつです。
さて、ユニークなこのギターですが、現代的な使い方をするには不都合な点が多々ある。
古楽器でも実用性が低ければ改造してしまうのが私のやり方。
近代化改装を施してやることにします。
以下、次回!