ギターコレクション (番外編) ギブソン B-25 改造およびメンテナンス
2016/01/12/23:56:38(Tue)
音楽仲間のマナブさんから、ギターをお預かりしてます。1967年製のギブソンB-25です。

ギブソン社のスモールボディ・モデルのB-25は、はじめLG2と言う名称でした。
後に固定式のブリッジが弦高調節可能なアジャスタブルとなり、サドルもプラスチック製に変更され、B-25と名称変更されました。
マーティンの00シリーズに近い小型のボディに14ポジションネックジョイント、ナロウネック、レギュラースケールよりもやや短いGibson scale(24.75インチ)採用と、代表機種のJ-45に対してステューデントモデル(入門器)と言う位置づけでした。
しかし、取り回しの楽さや、カラリと乾いた中音域の響きなどが弾き語りに最適で、今でも愛用者が多く、コンディションの良い1960年代~1970年代のモノは高値で取引されています。
さて、上の写真のB-25、後付けのピックアップが付いてますが、出力ケーブル及びジャックはダラリとそとに出たまんま。
これをボディ内配線のエンドピンジャックにして欲しいとの依頼。
正月休みを利用して改造作業にかかりました。
工賃は、崎陽軒のシウマイ30個入り一箱です(笑)
さて、まずはこのギターを観察してみます(ヒトのギターなのに)
後姿。

バック&サイド、ネックともマホガニーです。
トップはスプルース、指板は、よくわからないけど、ハカランダに似ているように思えます。
ヘッド。

御存じ、真ん中分けヘアースタイルのスモールタイプ。
ロゴは金文字。
ブリッジプレートが剥がれて修理の経歴があるとのことなので、弦はゆるめてあります。
弦巻き。


片側3連のクルーソンデラックスが使われています。
ケースにあいた穴は、グリース注入口。
ツマミはプラスチック製。
タカミネのサウンドホールピックアップ「TriAx」

普通にセットすると、1~2弦がポールピースからハズレてしまいます。
この点も、ちょっと工夫が必要。
このピックアップ、単体売りだと36000円もします。
中古なら立派なエレアコが買えてしまう!
だけど、マグネティックでの弦振動だけでなく、ボディの振動も拾う構造になっていて、さすがに高いだけあって実にナチュラルな出音です。
本体は、プリアンプと一体になっており、裏側にはアクティブ・パッシブの切り替えスイッチが付いています。
小さなボリュームも付いて、手元で操作できるのは便利。
2032型ボタン電池で作動。
アジャスタブルなブリッジサドル。

弦高調整可能なサドルと言うと、生ギターの場合どうしてもサスティーンが無くなりがちであることが多いんですが、このギターでは特に問題は無いようです。
ピックアップを取り出してみました。

出力ケーブルはジャック・プラグ式になっていて、利便性が高いね。
エンドピンジャックのアップ。

ギターのエンドピンを取り付ける部分は木材のブロックになっているので、その厚みを正確に計測することが重要になってきます。
2つの固定用ナット間の長さがそれで決まります。
しかし、サウンドホールから手を突っ込んでみても、私の腕では上手に測れない。
細い腕の人なら届くんでしょうね。
ならば、メンドウですがイチイチ現物合わせでやるしかないな。
まずは、オリジナルのエンドピンをはずして、ハンドドリルで穴あけ。

ゴリゴリ、ゴリゴリ。
軸線に対して傾かないように慎重に。
私はカンでやってしまいますが、細いキリから順番に太いものに替えてゆくと傾かないで上手にできます。
私は10ミリまでのキリしか持ってないので、テーパーリーマを使って適切な径にまで広げてやります。

ゴリゴリ、ゴリゴリ。
苦労して、何度も現物合わせを行い、やっと適切な飛び出し長さに成りました。

あとは、エンドピン型のスリーブを取り付けてやる。

配線および、エンドピンジャックの工事はこれで終わり。

ピックアップは少し回転させてやると、ポールピースと弦との位置関係はバッチリ決まります。

見映えはあんまり良くないけれど、この状態で暫く使ってもらいますか。
気に入らないなら、まっすぐに直しても、コード弾きでジャカスカ演奏する分には、それほど影響は無さそうです。
後は弦高や、ネックのトラスロッド調整をしてやり、クリーニングして完成。

なにぶん古いギターなので、サドルや、トラスロッドの調整はおっかなびっくりで行いました。
接着剤や、プラスチック部などは経年劣化が進んでいる事が多く、トラスロッドを回すとネックがミシミシいったり、プラスチックは普通に扱っていても割れてしまう事などもあるからです。
今回はそんなトラブルもなく、無事終わりました。
リペア前に比べて格段に弾きやすくなり、ピックアップからの出音もノイズレスで心地よい。
ハウリングもしにくく、かなりの大音量でもイケそうです。
マナブさんの良き相棒となってくれることでしょう。
※ この記事は、オウナーのマナブさんの承諾を得て掲載しています。
comment
[ Pagetop ]