ギターコレクション (8) GRECO MIRAGE M-900
2020/05/06/23:41:30(Wed)
1977年頃、KISSのポール・スタンレイとグレコの神田商会、アイバニーズの星野楽器、ギターの製造を担当した富士弦楽器製造が構想したセンセイショナルなギターが、この「ミラージュ」です。元に成っているのはアイバニーズ(当時は「イバニーズ」と呼んだ)が「2663」として海外で販売していたモデル。
たしか、スティ-ブ・ミラーが弾いていたんじゃなかったっけ。
だから私は、このミラージュ型ギターは、スティ-ブ・ミラーのイメージの方が強いんです、ポール・スタンレイじゃなくて。
後に「アイスマン」と呼ばれるこの「2663」、トリプルコイルという特殊な構造のピックアップが付いていたので、特に記憶に残ったんだろうな。
各写真はクリックで拡大。

んで、このミラージュですが、私が24歳くらいの頃かな、藤沢の楽器店【BOW】にて中古で購入。
ケーラーが付いて、ケーラーより安い2万円でした(笑)
購入当時は、あまりに奇抜なデザインの為、それほど人気が無かったように記憶してます。
そしてケーラーに改造してあったからね。
中古は、やはりオリジナル・コンディションの方が評価は高いため、この価格だったんでしょう。
ヘッドは長い! 先の部分があまってるよね。

先端を3㎝ほどカットして、同じカタチに整形してもイイかな・・・・・なんて考えたりしましたが、ギターとしての基本性能には、かかわりが無いので保留。
へッドと相似形のトラスロッド・カバーに「GRECO」の文字。
この字体には太いタイプと細いタイプがあるようですが、私のは太字。
ケーラーのロッキングユニットを取り付けてあるので、オリジナル状態よりは上に付いてます。
へッド裏にはシリアルナンバー。

イチバン左の文字は「I」なのか? 「1」なのかわかりにくいケド、ネットで調べてみたり、私の所有している他のグレコのギターを参考にしてみるとアルファベットですね。
とすると、これは「I」であり、A→1月、B→2月・・・・・と言う風に製造月を表しているとのこと。
二桁目と三桁めが製造年を表しています。
っうことで、この個体は1980年の9月に作られたコトになります。
ケーラーのロッキング・ユニット。

弦を固定するためのパーツを押し付けるのではなく、弦を通す穴の天井に向かって引き上げる方式です。
この方がロックした後の変化量が少なく、したがってファインチューナーによる微調整も早く出来ます。
ナットは、たぶんプラスチック製。
弦はダダリオの09-46を張っています。
指板の3ポジション~5ポジション付近。

この前紹介したギブソンのレスポールに比べると、はるかに丁寧に作らていますね。
パラレログラム(平行四辺形)のポジションマークも、カドはキッチリと尖っているし直線もダレてない。
材質は白蝶貝のようです。
フレットは幅が広くて高いモノで、現在のジャンボフレットに相当するんだろうけど、私が一度サンディングしているので多少低くなっているハズ。
フレット・エッジのバインディングもキチンと処理されていますね。
指板は高品位なローズ・ウッドが使われています。
かなり固くて、色も黒に近い。
ネックはメイプルの3ピース。
ボディ中央あたり。

フル・カバードのピックアップP-1を二基搭載。
P-1はグレコ製オリジナル・ピックアップで、4芯シールド・タイプ。
改造がやりやすいので、私はシングルコイルに切り替えられるようにしています。
ピックガードは私が作りました、M-900のオリジナルではありません。
アクリル板をカットして、黒く塗装してあります。
着色2層、トップコートも2層なので、今のところハガレていません。
エスカッションの留めネジ二点と、ボディサイドからレスポールに使うようなスティを使って固定してあります。
ブリッジは元々、チューン・オーマチックのような2つに分かれたモノでしたが、私が購入した時からケーラーに交換済みでした。
ケーラー・フライヤーの、どアップ。

このトレモロ・ユニット、実によく考えられていて、私はフロイドローズなんかよりも好きです。
アームと一緒に回転する部分と、弦が乗っかっているサドル部分が分かれているため、アームのアップダウンによる弦高変化が無いし、タッチは軽く、音程変化もなめらか。
ただし、サスティーンはシンクロナイズド・タイプや、フロイドには劣ると言われています。
その理由はローラーサドルによる、弦振動の減衰が大きいためだそうです。
だが私は使ってみて、そんなに違いがあるようには感じません。
ブリッジの乗るスタッドボルトの下に「サスティーン・ブロック」という金属の塊が埋め込まれており、弦振動を確実にボディに伝えることにより、ロングサスティーンを実現していました。
写真でも、少し見えるでしょ。
トレモロ・ユニットの前端がその「サスティーン・ブロック」に密着してセットされているため、本来4点止めなんですが、木ネジ2本でボディに固定してあります。
ちょっと頼りないケド、今のところ不都合は生じていません。

ウラがわ。

カメラの位置が高かったなあ。
ちょっとヘッドが大きく写っちゃってます。
ペグはグレコの刻印が入ったMH-901C。

グローバーによく似たカタチをしていますが、なんとポストの断面形が八角形。
ゆるみ、たわみが発生しにくいと言うのがウリだったが、そんなに効果的とは思えない。
中心には穴があいており、ソレがウラにまで貫通している。
グレコでは、その穴に弦を通してからポストに巻くことを推奨してましたが、私は上記の理由により普通に巻いています。
6弦のモノだけ裏ブタの色が違っていますが、これは元々欠落してギヤが露出してました。
そこで、手元に銅板があったので自作しました。

ナット裏のボリュートは、かなり高く盛り上がっています。
ネックジョイント付近。

1弦側のハイポジションは大胆にカットされています。
おかげで最終フレットまで楽に指が届きます。
ストラップボタンはロックタイプに変更。
たしか、「ピックボーイ」のだったかな。
コントロールは元々、2ボリューム、2トーン仕様でしたが、1ボリューム1トーンにしてあります。

ミニスイッチは、ピックアップのコイルタップ用。
フロント、リア共にシングルコイルに切り替わります。
ノブは、「ノンスリップ」と言われるタイプで、上半分にゴムベルトが巻かれています。
しかし経年変化で、このゴムベルトが伸びてクルクル回るようになっちゃった。
今は‟ノンスリップ”ではないですね。
ボディはマホガ二ーです。
マホガニー・ボディにメイプル・ネックと言えば、前回紹介した私のレスポールと同じ仕様ですが、それほど重くない。
体重計に乗せてみたら、4㎏ちょうどでした。
そして重量バランスも良好で、ストラップでブラ下げて両手を離してもヘッド落ちしません。
ルックスに似合わず、割りと弾きやすいギターなんです。
この「ミラ-ジュ」、離れて見た姿は「黒衣の怪人」と言ったイメージなんですよ、私的には。
そんで「PHANTOM」という名前を付けてやりました。

ホーンの中ほどにインレタです。
カバー・コートはかけてないので、爪でこすったりすると剥がれてしまいます。
変形ギターの御多分に漏れず、全長がかなり長いです。
だから、持ち運ぶ時はベース用のソフトケースに裏返しで入れてます。
それでも、ホーンの先端は少しケースから出てしまう。
こう言うギターは、背の高い人にはバッチリ決まるんだけど、私なんかはねぇ、かなりキビシイなぁ(笑)

でもね、粘りのある太い音が弾いてて心地よいし、何と言っても見てる人にアピールする力はかなり強いのでこれからも弾き続けていきますよ。
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